コロナ禍において未来を考える

かつて親しい友人が「単純な精密機器」と評した通り、私は大変シンプルで楽観的なところと、悲観的ですぐに落ち込むところが面白いぐらいに同居した性格だ。誤解があると嫌なので一応断っておくと、“二重人格”や“感情の起伏が激しい”、というのとは違う(と思う)。変わり者だけど非常識ではない(と思う)。大胆さと繊細さを両方備え持っている、と言っておこう。


さて、2020年1月下旬ごろから姿を現し、世界をパニックに陥れている新型コロナウイルスが及ぼしている悪影響に関しては、とりあえず落ち込むだけ落ち込んだ。


運営している「PARFAIT」は、面白いメンバーやメンバーシップに興味を持つ人たちが増えてきたし、我々“ならでは”のイベントも連続して打ち出せていた。ちょうど自信がついてきて、まさに“軌道に乗ってきた”矢先だったのだ。だが、世界は無情にもどんどんと変わり始めた。折角の良い流れを止めたくないと、スタッフやメンバー、ゲストの安全を考えながら、あの手この手で策を打ってはみたものの、結局「PARFAIT」の主戦場はあくまでもリアル。野球場やコンサートホール、イベントスペースと同じで、人が集まれなければ仕方がない。早々に企画は自粛、やがて、訪ねてくれていたみんなもついに来館できなくなった。このままいくと、4月の売り上げはほぼゼロ、ああ、どうするの。


よって、先に書いた通り、とても落ち込んだ。職業病※1も災いして、ついつい脳内で“考えられうる最悪の状態”をシュミレーションしてしまうのも良くない。愛猫ポムフリットと一緒に2日くらい“ふて寝”した。

さすがにこの鬱鬱とした気分はかなり長引くのではないか・・・と我ながら心配したものの、幸いなことにひどく落ち込むと、それ自体に疲れ、逆にいろいろなことを冷静に考えるようになった。


発端は、既に多くの人命を奪い、経済的にも大きなダメージを与えているコロナという忌み嫌うべき存在が、いくつか興味深い現象をもたらしている、という情報を知ったことだと思う。中国では大気汚染がかなりのペースで改善され、ヴェネツィアの運河の水は澄み、なんと地球のオゾン層も回復しているという。詳しいデータを見ていないので真偽の程には敢えて言及しないが、車などの往来が著しく減ったことを考えると、まったくのデマでもなかろう。


前職のMistletoeは、人類が直面している21世紀の課題を解決せんとするベンチャーを支援し、自分たちでも日々その解決方法を考えんとする集団だったが、『気候変動問題』というのは重要な課題のひとつだった。それが、多くの地域で人々の移動が一時的に制限されたことで、解放に向かっている(と捉えられる)。もちろん短期間の行動変容では地球全体の回復には程遠いだろう。だが、皮肉にも、一つのヒントというか実証を得られたことには違いないと思う。


さらに、昨今では政府も主導して推進していてザ・バズワードにもなっている『働き方改革』。こちらも否応なしに加速・実行されているように思う。つまりは、時差通勤、リモートワーク等々が本当に実現されるようになったし、本当に必要のないミーティング以外は行われないようになる、など断捨離が発生しているはずだ。単に“ミーティングに出席することが仕事になっていた人たち”もこのままオンライン・リモートワークが続くと淘汰されるかもしれない。果ては、「ちょっとくらい具合悪くても無理して出勤しろ」という理不尽な日本の悪しき精神論もだいぶ緩んでいるのではないだろうか。できる限りやりましょう、というお茶を濁したような『働き方改革』から、否応なしの改革へと待ったなしに進んでいる感じだ。


他には、かなり注目・関心度の高い「教育」においても、すでに起こっているオンライン授業拡大など、何らかしらの変化が起こってくるものと思われる。そもそも物理的に子供が学校に行けない状況が長引くと、本当に学校は必要なのか、教師はいるのか、といったようなことまで議論されて大きな改革が行われる可能性もある。


・・・このように、あらゆる大小のテーマにおいて、今後世界は何等かの方向転換を求められるはずだ。

コロナ流行というこの恐ろしく、悲しく、とても不都合な現実は、我々を容赦なく打ちのめす。一方で、これをきっかけに、予期せぬことが起こったり、かねてから取り組んでいた改革が推進されたり、さらには、まったく新しい考え方や物事が生まれたりもする。


このことに気付いた時、悲嘆にくれてばかりもいられない、どうせなら、命あるうち、元気なうちは、前向きにかつ斬新に未来を考えてみよう、そう思うようになった。



,< つづく >



※1 マーケティングPR、企業広報に長い間従事しリスクマネジメント案件も多数経験したために、「常に最悪の事態を想定する」というリスクマネジメントの定石がしっかりと身についてしまった。


#キャプション

神田界隈の大好きな喫茶店その1「高山珈琲」

ダンディなマスターの笑顔と素敵な空間、そして美しい器で出される一杯のコーヒーをいただくのが至福なのである。ああ、このようなリアルの場が恋しい。

MY WONDERFUL DAYS "LIKE A BOX OF CHOCOLATES..."

東京・神田にある21世紀型のコミュニティサロン『PARFAIT』ファウンダーのブログです。『PARFAIT』に集う魅力的なひとたちのこと・自身の心が動いたこと・他愛ない日常や、神田界隈の情報などを記していきます。

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